アステイヤ(不盗)について
ヨガにおけるアステイヤとは、直接的な意味としては盗まないということです。
しかしヨガにおけるアステイヤというのは、ただ物を盗まないということだけではありません。
人に対して、また物に対しての切望の感情にも気をつけなければなりません。
現代では私たちの身の回りにたくさんのものが溢れかえっています。お金を出せば好きなものがなんでも手に入ります。
しかしアステイヤの考えでは、この世の中で自分のものは何もないのです。
すべてが地球、自然からの借り物だということを認識しておかなければなりません。
したがって、自分が必要とするものだけを地球から借りて、それ以上のものは望まないという態度が大切です。
自分が必要としている以上のものを手に入れる、また無駄に使うことはアステイヤに反することになります。それは地球、自然から盗んでいることと一緒なのです。
さらにアステイヤというのを精神的なレベルで考えてみると、他人の所有物や幸せに対しての嫉妬の気持ちも避けなければなりません。私たちはついつい他人が持っているものを欲しがったり、他人の幸せを羨ましがったりしてしまいます。他人の所有物はその人のものではありません。すべてが地球のものなのです。
また他人から機会を奪うことも避けなければなりません。私たち、日本人はよく働きますが、必要以上に残業を何時間もして働くことは、もしかしたら他の人の仕事の機会を奪っていることになるのかもしれません。
さらに他の人を助けることにも注意が必要です。例えば、親が子供の面倒を見ることは当たり前ですが、それが行き過ぎると子供が成長する機会を奪うことにもなりかねません。
失敗することは決して悪いことではありません。それによって、私たちは多くを学ぶことができます。
私たちはヨガのアステイヤに従って、他人の権利(失敗するかもしれないことも含めて)を尊重しなければなりません。
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